障害のある子供に財産を渡したいために家族信託を活用する事例

相談者(父:78歳)は、妻(72歳)と障害のある長男(40歳)、そして長女(36歳)がいます。相談者は、自分や妻も高齢なので、将来自分たちが亡くなった時に備えて、長男にアパートやお金を相続させるような遺言書を書きたいと思っています。そうすれば長男も金銭面で困ることもないからです。しかし、長男は、知的障害を抱えているためアパートを相続しても管理することができませんし、多額のお金を相続してもお金の出し入れなどをすることは難しいでしょう。この場合何か良い方法はないのでしょうか?
 
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何の対策もしないとどうなるでしょうか?

相談者が亡くなった場合、財産を残された相続人全員で分け方を決める遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に署名し、実印で捺印する必要があるのですが、長男に知的障害があるため、この遺産分割協議書に署名捺印できないと考えられます。この場合、代わりに署名捺印する人として成年後見人を選任する必要があります。 この成年後見人は家庭裁判所で選任してもらいますが、早くても1~2か月はかかります。
この間、遺産である預金を解約することができません。
また、長男は、相続したアパートやお金の管理をすることはできないため、誰かが長男に変わって管理する必要があります。相続手続きをするためには成年後見人が選任されることになりますが、成年後見人については、
①財産の運用や処分が難しくなる
②家庭裁判所から誰が選任されるか分からない
③第三者が選任された場合、継続して費用が発生する
などの問題があります。そして、遺産分割協議後も後見人が一生、長男の財産を管理していくことになります。

遺言書を書いていたらどうでしょうか?

この場合、遺産分割協議は不要になります。公正証書遺言で作成している場合には、金融機関の口座の解約手続きは比較的スムーズにいくため、お父さんの遺志通りに遺産を引き継ぐことが可能になります。しかし、相続手続後、新たな問題が発生します。長男は、自分で財産の管理ができないため、アパートの契約やお金を下したり、支払いをしたりということが困難です。成年後見人を選任すると、アパートやお金の管理はしてもらえますが、前述したように硬直的な管理しかできません。長男が自分のお世話をしてくれた人に財産を残したくても、長男の知的障害の度合によっては遺言書を書くことは出来なくなります。

家族信託を使った場合はどうなるのでしょうか?

長女が知的障害のある長男の面倒をよく見てくれる場合、相談者を委託者とし、長女を受託者、長男を受益者として相談者と長女で信託契約を締結し、アパートとお金を信託します。そうすれば、長女は信託されたアパートを管理し、お金の出し入れすることができるようになります。信託されたアパートからの家賃収入があるので、長男が生活に困ることはありません。また、相談者が信託したアパートやお金を管理するために成年後見人を選任する必要もありません。相談者が亡くなっても、信託された財産は長女が管理していますので、信託された財産の相続手続きは不要になります。そして、信託契約書の中で定めておくことで長男が亡くなった場合、長男の面倒を看てくれていた長女やその子供に財産を渡すこともできます。
※家族信託は相続や財産管理を解決していくための手段の一つです。
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