自筆の遺言書らしき書類が出てきたが、その記載内容に基づく遺言執行ができるか不明だったケース(遺言執行)

(1)状況
A・B・C 3人兄弟のAが亡くなりました。Aは生涯独身で子がいませんでしたが、長年同棲しているDというパートナーがいました。
Aのマンションの引出しから、直筆の遺言書らしき便箋1枚が見つかったため、「この遺言書の内容どおりに手続きはできるのか?」と、Dが相談にお見えになりました。
遺言書を拝見すると諸々書かれていましたが、
①『マンション(熊本市)は、Dに相続させる。』
②『預貯金はB・C・Dの3人で等分すること。』
の2点が、法的効果を持ちそうに思われる記述でした。
(2)当事務所からの提案 & サポート
まずは、家庭裁判所で遺言書の検認手続を受けることが必要です。
遺言書が封印がされている場合は、封を勝手に破いて見てはいけません!
今回は便箋のまま出てきましたが、それでも自筆証書遺言の場合は検認手続きが必要となります。
次に、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう手続も必要です。
今回はB・Cとも相談した結果、Dを遺言執行者に選任してもらう手続きを行うことになりました。
また、遺言書の記載ではマンションの特定が不十分であるため、遺言書の記載どおりにDへの名義変更が出来ない可能性がありました。
その点については、先ずはこちらでAの財産に関する資料を収集し、その資料を基に法務局に登記が可能なのか事前協議を進める準備から取り掛かり、その後の検認手続および遺言執行者の選任手続のサポートも行うこととなりました。
(※ちなみに、遺言書を用いた名義変更が出来ない場合については、法定相続人B・Cの2人で遺産分割協議を行い、BかCもしくはBとCの共有名義にしたうえで、Dがマンションを所有したければ、相続した方から贈与を受けるか買取りをせざるを得ません。その場合、Dにとって多額の贈与税あるいは売買代金の負担が予想されます)
(3)結果・解説
今回は、法務局で事前に協議した結果、遺言書を用いたマンションの名義変更ができるという判断となり、無事に登記手続きを完了することができました。
せっかく自筆証書遺言を残しても、その遺言が実際の手続きに使えなかったというケースも多く見られます。
自筆証書遺言で財産を記載する際は、今回のケースのように財産を特定するための表記が不十分であったり、あるいは財産を書き漏らす可能性がありますので、自筆証書遺言を作成する際は自分がどこにどのくらいの財産があるかを確認する「財産の棚卸し」を行うことと、事前に司法書士などの専門家に添削をしてもらうことをおすすめします。
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